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2.重なるセカイ
青空の下、学校内の芝生の上に寝転がり分厚い本―文芸部誌を読む武巳。
長い話を読み終わり、一息いれる。
「さすが陛下。長い。」
少し痛む頭を押さえて、上を見る。
視線の先には、雲一つない青空が広がっている。
日の光を浴びてキラキラ輝く葉の隙間から落ちてくる木漏れ日に目を細める。
どこかで見たことがある気がして首を傾げる。
(なんか、最近…………あっ!)
飛び起きると先ほどまで読んでいた部誌を開く。
パラパラとページをめくり、お目当てのページを見つける。
そこに書かれている情景が今の風景と同じなのだ。
「すげー。偶然だ!作者誰だろ…………」
何ページか前に戻ると、「日下部稜子」と書かれていた。
「ウソ……………」
自分の想い人が描いた風景と重なった世界。
武巳は走り出した。
この風景を稜子に見せるために………
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