恋をしている10の題 ○

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2.君だけでいい   「美希さんて、なんで前髪いつも下ろしてるんですか?」 隣を歩いている、年上の彼女―美希の顔を覗き込むよいに柾は聞いた。 美希は足を止めて、柾を見上げて首を傾げた。 「えっと………」 少し困った風に呟くと頭を抱える。 美希は何も言わずに、答えを待つ。 「もったいないな~。って、思ったんです。」 そう言って、瞳を隠している前髪を上げる。 中から出てきたのは、銀色の瞳だった。 「せっかく、綺麗な瞳なのに………」 柾は美希のこの瞳が好きだった。 いつも見ていたいのに、美希はよく前髪で隠しているので、見れないことのほうが多い。 まわりの人の中には、「気持ち悪い。」と言う人もいるが、柾はキラキラ輝いているように見える瞳が大好きだった。 だから、何度目かになるお願い。 いつもならなんでも聞いてくれる彼女だが、この願いは聞いてもらえず、今日もまた、首を横に振られた。 「なんで~?」 我ながら、ガキみたいだ。と内心苦笑しながらすねた風に言うと、美希微笑んで柾にささやいた。 耳元でつむがれた言葉に、目をぱちくりさせていた柾だが、次の瞬間には笑顔になっていた。 「こんな理由じゃ、ダメ?」
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