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3.お揃い指定着信音
別にまねしたわけじゃなかったの。
本当にただの偶然。
だけど、凄く凄く嬉しい。
夕方、ほとんど人がいない図書室の、絶対に普通の学生は興味をしめさないような本ばかり置いている奥の棚の前に、私は立っている。
理由は簡単。私が読書が大好きで、今年中に図書室の本を読破することが目的だから。
この日も授業が終わってから、ずっとここにこもりっぱなしで読み続けてる。
辺りが、オレンジに染まってきたからそろそろ帰ろうかと、本を閉じた時。
♪~♪~♪♪♪~~~♪
耳慣れた着信音―自分の携帯に設定しているのが聞こえてきた。
学校の校則で禁止されている携帯電話の着信音は、静かな図書室に響きわたった。
私は慌てて本棚の陰に隠れると制服のポケットから携帯を取り出した。
だが、鳴っていなかった。
「あれ?おかしいな?」
今だ鳴り続ける着信音の元を探すようにキョロキョロ辺りを見渡すと、別の本棚の陰に茶色の髪が見えた。
「はい………もしもし?」
その人は、寝起きなのかあまりはっきりしない声で話だす。
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