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5.ぜんぶ君のもの
「そいつは、お前のモノなのか?」
同じ学校の同じ学年で同じクラスだったことのある男子に呼び出された時、凄く嫌な予感はした。
だから、出て来る前にそっと合図すれば君は少しだけ頷いて答えてくれる。
それで、安心して付いて行ったら、案の定愛の告白で断った瞬間、押さえこまれた。
逃れようと暴れる私を抱きしめて、耳元でささやかれる。
吐き気がこみあげてくる。どうにかしようともがいた時、急に拘束していたヤツが吹っ飛んで、バランスを崩した私は温かで安心できる腕に抱きしめられた。
「大丈夫?」
優しい眼差しに頷くと、彼は微笑み視線を吹っ飛ばしたアイツに向ける。
赤くなったホホを抑えながら、アイツが言った冒頭のセリフ。
「バカか?」
冷たい声で君は言う。
「こいつは俺のモノじゃねぇ。」
「俺の女だ。モノ扱いするな。」
そのまま、私を抱き上げ歩きだす。
もちろん、アイツをほったまま。
「ありがとう………」
そう呟けば、何か言いながら顔を背ける君。
真っ赤になった顔が愛しい。
君はああ言ってくれたけど、私の全ては君のものだよ。
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