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6.ぎゅってしてね
真夜中に目を覚ます。
嫌な夢を見た。
貴方が遠くに行ってしまう夢を………
不安になって隣を見たら、貴方はちゃんと存在した。
けれど不安は消えなくて、私は上半身を起こして貴方に近づく。
「シゲ?」
不安げに貴方の愛称を口にして、顔を近付ける。
呼吸をしていることと、体の温かさを確認する。
それでやっと不安はなくなった。
「よかった………」
「何が?」
驚きと同時に腕を引っ張られ気が付いたら貴方の腕の中。
「どうかした?」
優しい声が頭上から聞こえてきて、私は涙を流した。
「どうした?」
慌てた貴方の声に首を横に振る。
「なんでも………ないから………」
ぎゅってして
震える声で囁けば、体にまわされた腕に力がこもる。
すっかり安心した私は、心地よい温かさの中で眠りにつく。
もう悪夢なんか見ない。
だって、貴方に抱きしめられているんだもの……
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