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「だいじょう、ぶ?」
瑞希は、稔麿の身体を気遣う。
そして、哀しい笑みを落とす。
「やっぱり、母を殺した私が、幸せを望むのは間違いだったかな・・・」
稔麿は、顔を歪めて首を振る。
「違う、違うっ・・・」
そして、何か思い出したように、彼女に話しかける。
「そうだ、瑞希。櫛を贈る意味、わかったかい?」
瑞希は黙って首を振る。
「やっぱり君は馬鹿だね。僕は求婚したんだよ。夫婦になってくださいって。
君はそれを受け取った。もう、返品できないよ?だから・・・」
その後の言葉は続かない。
私は少し首を伸ばして、自分から稔麿に口づけする。
唇に触れるだけの、ささやかなキス。
稔麿は目を見開いて、彼にしては珍しく驚いた表情を見せた。
「未来では、こうやって返事を返すの。知らないでしょう?」
悪戯っぽく笑い、稔麿の顔を覗き込む瑞希。
「・・・全く、君は・・・」
そこへ声が届く。
「血の跡を追え!近くにいるぞ!」
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