プロローグ

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「遅いよ。俺はもう仕事に行くから、戸締りよろしく!  帰りは遅くなるから、晩御飯の用意はいらないよ。  一人になっちゃうけど、大丈夫?」 少し色素の薄い、茶色い瞳が心配そうに、瑞希の顔を覗き込む。 「お兄ちゃん、子供じゃないんだから、ご飯くらい一人で食べれるって。ほらほら、遅刻しちゃうよ?」 「そう?」 納得しかねるようにしながらも、時計を確認して、焦り始める。 「気をつけて。」 そう言うと、瑞希の頭をクシャリと撫でて、玄関に向かう。 スーツ姿に着替えた兄は、妹の私から見てもかっこいいと思う。 道行く人が振り返るような整った顔立ちに、長い手足。運動神経も良いし、、、悪いとこあるのかな? でも、彼女を紹介されたことはない。 たぶん、いるはずなんだけど。 今日はデートかな、なんて、想像してたら、広い背中はドアの外に消えていった。
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