475人が本棚に入れています
本棚に追加
「遅いよ。俺はもう仕事に行くから、戸締りよろしく!
帰りは遅くなるから、晩御飯の用意はいらないよ。
一人になっちゃうけど、大丈夫?」
少し色素の薄い、茶色い瞳が心配そうに、瑞希の顔を覗き込む。
「お兄ちゃん、子供じゃないんだから、ご飯くらい一人で食べれるって。ほらほら、遅刻しちゃうよ?」
「そう?」
納得しかねるようにしながらも、時計を確認して、焦り始める。
「気をつけて。」
そう言うと、瑞希の頭をクシャリと撫でて、玄関に向かう。
スーツ姿に着替えた兄は、妹の私から見てもかっこいいと思う。
道行く人が振り返るような整った顔立ちに、長い手足。運動神経も良いし、、、悪いとこあるのかな?
でも、彼女を紹介されたことはない。
たぶん、いるはずなんだけど。
今日はデートかな、なんて、想像してたら、広い背中はドアの外に消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!