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家に一人残され、静かな時間が流れる。
瑞希は、テーブルに出してある、ミルクたっぷりのカフェオレを口に含む。
「全く、過保護なんだから。彼女に逃げられちゃうぞ?」
そんなことを言いながらも、忙しい朝の時間に、瑞希のためにカフェオレを用意してくれた兄の優しさに感謝する。
起きたのが遅かったので、すでに朝ごはんを諦めて、簡単に身支度を整える。
本人は無自覚だが、瑞希も兄と並んで見劣りすることはない美貌を持っている。
メイクの必要もない白い肌。血色の良い赤い唇は、グロスをひと塗りすれば完成。
背中の中ほどまである艶やかな髪は、黒くまっすぐで、櫛をとおしておしまい。
かわいい、というより、綺麗という方がしっくりくる。
けれども、必要以上に人目を引くことを恐れて、メガネをかけ、髪をひとつにまとめる。
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