プロローグ

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「行ってきます。」 そうして、誰もいない家につぶやきを残し、バス停に向かう。 「もうすぐ咲きそう。」 瑞希の学校は坂の上に建っており、バスを降りてから、門まで続く桜並木をゆっくりと上っていく。 時折、冷たい風が吹くものの、朝の日差しが柔らかく降り注ぎ、膨らみ始めた桜の蕾が、新しい季節を告げる。 満開になる日を楽しみにしながら、桜の木を見上げる。 「また見てる。そんなに咲くのが楽しみ?」 後ろから声がかかる。
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