475人が本棚に入れています
本棚に追加
「行ってきます。」
そうして、誰もいない家につぶやきを残し、バス停に向かう。
「もうすぐ咲きそう。」
瑞希の学校は坂の上に建っており、バスを降りてから、門まで続く桜並木をゆっくりと上っていく。
時折、冷たい風が吹くものの、朝の日差しが柔らかく降り注ぎ、膨らみ始めた桜の蕾が、新しい季節を告げる。
満開になる日を楽しみにしながら、桜の木を見上げる。
「また見てる。そんなに咲くのが楽しみ?」
後ろから声がかかる。
最初のコメントを投稿しよう!