三十一、ずっと一緒に居よう

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廊下を歩いていると、ドンッと、わざとらしく後ろからぶつかってきたのは、 「最近やたらとニヤニヤしてるけど、何か良い事でもあったのかぁ?」 「あんたのがニヤニヤしてる度合いが大きいと思うけど、後藤さん?」 こういう、いやらしいツッコミしてくるのは、コイツしかいないから。 「栄司とのアパート探しはどうなってるの?もう決まったのか?住む所」 「実はまだ…」 「でも、何軒かは候補が有るんだって、言ってたじゃねぇか?」 「家を見つけても、私の働き口がなかったら、どうしようもないでしょ?」 「まぁ、そうだけど。名義は栄司のお父さんでいいだけだろ?」 「…ちょっと、考えてる事があってね。それ待ちで、無理だったらアパート借りようかと思って」 「ふぅ~ん。決まったら早く、お婆さんに報告してやんなきゃな…」 そりゃ、もちろん。 でも、最近は…。 後藤は小さく言った。 「今まで、力んで生きてきてるから、少しずつ物事が解決していって、気が揺るんだんだろうな、一気に。正直、お婆さん、そんなにもう長くはないから…」 「やだ!…そんな不謹慎な事、言わないでよ。あんたバカでしょ、全く…」 私は、自分でも気が付いて言葉に出さなかった事を、後藤に言われて少しムカついた。
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