三十一、ずっと一緒に居よう

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「栄司くんとずっと一緒に居たいから、今ね、ちょっとお願いしてる事があるの…」 私も囁きながら、栄司くんの手を握る。 栄司くんは不思議そうな顔をしているから、 「ねぇ、栄司くん。野菜や花って種を蒔いて、成長するでしょ?突然大きくなるわけじゃなくて、苗って言ってね?種を蒔いた土から芽が出るのね?…」 「知ってるよ?図鑑で見た事あるし。野菜や花の赤ちゃんでしょ?こんくらいの可愛いの」 「そうそう。それを育てている農園があるの。そこで栄司くんと、いつも一緒に働けたらいいのになぁ~って思って」 「うんうん、楽しそうだね♪」 「本当に?」 栄司くんは私をギュッとして、 「本当だよ」 「土や肥料や水撒きだとか、重い仕事が多いけど。私は栄司くんとそういう新しい発見を一緒にしながら、同じ気持ちで居たいんだぁ」 「うんうん、そうだね…僕もそう思うよ?…」 「連絡きたら、また教えるけど。無理そうだったら、アパート借りて二人で頑張って行こうね?」 「うん…」 私と栄司くんは、ゆっくり一つの布団の中で眠りについた。
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