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エアコンはあえてつけないでいた。
自分の家ではないという想いと、ちょっとは痩せるんじゃないかという浅はかな期待。
だくだくと出ては流れて、シーツに染み込んでいく汗。
まるでサウナ。
東北出身だから暑いのは苦手なんだよねと、よく言い訳していたあの子を思い出した。
今となっては本当に東北出身だったのかもわからない。
嘘つきなあの子を、私のこの脳は忘れる事を許してくれない。
私の闇を嗅ぎつけて近寄り、そして跡形も無く消えたあの子。
喜ぶことも悲しむことも私は、未だにできないでいる。
いや、きっと一生できないのだろう。
あの日、口走った計画が正解だったのかなんて私にはわからない。
そういえば、あの日もこんな暑い日だった。
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