真夏日

7/7
前へ
/7ページ
次へ
その日は今年入っての最高気温とかで、照りつける日差しに道行く誰もがうんざりした顔をしていた。 そのうちのひとりは私。 これではつい先程に入った風呂の意味が何もない。 つーっと汗が何度も背中を下っていく。 ああ、気持ち悪い。 ギラギラと光る太陽から逃げるように、私は足早に図書館へと入った。 こんな真夏日には誰も外には出たくないのか、思いのほかこの涼しすぎる場所は人気が少なかった。 それが余計に私の居心地をよくさせる。 いつもの本を手に取り、いつもの席に腰かければ、心がとても穏やかになるのを感じた。 普通はこんな本を読むとなれば、心がざわつくものだろうが。 今まで気づいてはいなかったのだが、残念なことに私は悪趣味である。 ピエロの物語を読み終えた瞬間から、私は猟奇的なものに取り憑かれたようになってしまったのだ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加