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その日は今年入っての最高気温とかで、照りつける日差しに道行く誰もがうんざりした顔をしていた。
そのうちのひとりは私。
これではつい先程に入った風呂の意味が何もない。
つーっと汗が何度も背中を下っていく。
ああ、気持ち悪い。
ギラギラと光る太陽から逃げるように、私は足早に図書館へと入った。
こんな真夏日には誰も外には出たくないのか、思いのほかこの涼しすぎる場所は人気が少なかった。
それが余計に私の居心地をよくさせる。
いつもの本を手に取り、いつもの席に腰かければ、心がとても穏やかになるのを感じた。
普通はこんな本を読むとなれば、心がざわつくものだろうが。
今まで気づいてはいなかったのだが、残念なことに私は悪趣味である。
ピエロの物語を読み終えた瞬間から、私は猟奇的なものに取り憑かれたようになってしまったのだ。
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