プロローグ

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…一般家庭出身の僕が、普段余計に持ち歩いているはずも無いのに…。 目の前のクラスメートの顔が歪む。 「…あぁ?そんなはした金で足りる訳ねーだろが。三人で割ったら200円弱にしかなんねーだろ!!馬鹿にしてんのか。」 確かに。 …でも、理不尽だ。 …胸倉を掴まれ、拳を振り上げられた僕が… 次に来る衝撃に備えて目を閉じた時だった。 「…お前等何、やってる?」 …低い声に顔を上げる。 光に透けた金髪がキラキラと反射した。 …この人は、たしか。 風紀委員長の長谷川愛斗(はせがわまなと)。 「俺の目の前で恐喝とは、良い度胸だな。」 …俺に振り上げられた不良の手を掴んだ風紀委員長の姿が… 余りにも気高くて、美しくて…。 一瞬で魅入られた。 ……僕が風紀委員に入ったのは、その年の終わり頃。 …指名される為に努力して、努力して。 …やっと、指名された時…。 その指名を2つ返事で返答した。 ………美しくも気高いその人の隣で、その人を支える為に。
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