476人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「…お前等、深卯の事を馬鹿にしてやがんのか?」
…胸倉をつかんだ委員長の手を港ちゃんが払った。
「…馬鹿にしてんのは、ソッチでしょ?」
ギロリと、港ちゃんの瞳が委員長を睨む。
…ざわつく、周囲。
「…会長が役員の仕事肩代わりしてたの、知ってるよね?あんた、風紀でしょ?…書類を渡す時、書類を会長が持って来た時、おかしいっておもわなかった?…俺ですら、気付いたよ。…会長、顔色悪かった。ずっと。ずっと。」
…知る訳がないよ。
その人、ずっとサボってたもん。
オロオロとする巧先輩。この人は、いつも自分より周囲を気遣う人だ。
…だからこそ、隣に誰かが必要で…
きっと、今はそれが港ちゃんなんだと思う。
「港…。」
震える細い声。
…悔しそうに唇を噛んだ港ちゃんの頭を巧先輩が愛しそうに撫でた。
「は?ソイツだって、結局サボったじゃねーか。役員達の事言えんのかよ?…そんなんで偉そうに深卯の事馬鹿にすんな。被害者ぶりやがって!!」
…委員長の怒声が響いて、僕は頭を抱えた。
…………悪役だよ。それじゃあ…。
「……倒れたんだよ。」
「は?」
「会長、倒れたんだよ。」
その言葉に、ヒュンと喉の奥がなった。
…やっぱり、会長。倒れてたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!