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プロローグ
「松谷くーん。遊びましょう。」
放課後、寮への道を近道しようとした僕を取り囲んだ…赤、黄、緑。
…うっわ。カラフルな頭だなー。と、思う間もなく壁際に追い詰められた僕は息を詰めた。
「俺達、金無いんだよね?」
「松谷くん。有り金全部、置いて行ってよ。…友達だろ?」
…クスクスと笑う男達はまぎれもなく、僕のクラスメイトだ。
一週間前。熱で朦朧としながら受けたテストが原因で、僕はY組落ちを余儀無くされていた。
…そう、あの悪名名高きY組に。
当然、毛色の違う僕は恰好の餌食だ。
「…あの、これしか持って無いです。」
そう言って、財布を開く。
…中の所持金は、650円だ。
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