後朝の別れ

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日の出に向かって鳴き渡る明鳥。 男娼に送り出された遊客たちが帰る朝の五丁町は、妓楼や茶屋の声もおろされたまま閑散している。 しかし、水を汲み上げる井戸の滑車の音が建物の中から聞こえ、外では近くの非人溜まりから来た人たちが通りの掃除を始め、肥取りの人夫たちの荷駄が大門から入ってくる。 朝帰りの客のどこか惚けた顔と、黙々と働く人々の奇妙な取り合わせから、吉原の朝は始まる。  
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