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「尾形俊太郎として、はじめの傍ではじめを見守る…これくらいしか、僕には恩返し出来ないんだ。」
「廣明…」
何かを思い出すかのように、
目を伏せる廣明
勝はそんな廣明の頭を撫でた。
「ごめんね?」
「なんで…姉さんが謝るの…(微笑」
また、泣きそうな顔をする勝に対し
微笑む廣明、「ありがとう」
と一言呟いた。
その後、尾形さんから返ってきた文には
『心得た、好きなだけ暴れてきなさい。いつまでも待っているから。』
と書かれていた。
廣明は、優しい尾形さんに対し感謝の気持ちを文に書きまた、送った。
そして、京へ行く準備をし始めた。
ーーーーーーーーーーーーー
そして5月下旬
「ん~…此処が京…」
廣明は、自らを尾形俊太郎と名乗り
京へ上った。
京は人で溢れかえり、活気があった。
「おい…聞いたか壬生狼の話…」
壬生狼というのは壬生浪士組の事
野蛮で百姓からの成り上がりが
たくさんいると言うことから
そう呼ばれるようになったらしい。
「あぁ…隊士募集だっけか?恐ろしいよな…あんなのが増えるだなんて」
「まったくだ…」
どうやら、壬生浪士組は隊士を募集しているらしい。
廣明(以後俊太郎)は
「ふぅん、ちょうど良かったな」
と小さく呟いた。
俊太郎は、壬生へ向かいまた歩き出す。
…が
ガッシャーン!!!
大きな音がした。
何かを叩きつけるような
そんな音
顔を音のした方へ向けると、浪士が店を壊しながら店主に刀を向け、女の店員を羽交い締めにしている光景が見えた。
周りは助けようともしない。見てみぬふり。
俊太郎は周りに呆れながらも
そちらへ向かっていく。
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