第一章

3/4
前へ
/7ページ
次へ
「尾形俊太郎として、はじめの傍ではじめを見守る…これくらいしか、僕には恩返し出来ないんだ。」 「廣明…」 何かを思い出すかのように、 目を伏せる廣明 勝はそんな廣明の頭を撫でた。 「ごめんね?」 「なんで…姉さんが謝るの…(微笑」 また、泣きそうな顔をする勝に対し 微笑む廣明、「ありがとう」 と一言呟いた。 その後、尾形さんから返ってきた文には 『心得た、好きなだけ暴れてきなさい。いつまでも待っているから。』 と書かれていた。 廣明は、優しい尾形さんに対し感謝の気持ちを文に書きまた、送った。 そして、京へ行く準備をし始めた。 ーーーーーーーーーーーーー そして5月下旬 「ん~…此処が京…」 廣明は、自らを尾形俊太郎と名乗り 京へ上った。 京は人で溢れかえり、活気があった。 「おい…聞いたか壬生狼の話…」 壬生狼というのは壬生浪士組の事 野蛮で百姓からの成り上がりが たくさんいると言うことから そう呼ばれるようになったらしい。 「あぁ…隊士募集だっけか?恐ろしいよな…あんなのが増えるだなんて」 「まったくだ…」 どうやら、壬生浪士組は隊士を募集しているらしい。 廣明(以後俊太郎)は 「ふぅん、ちょうど良かったな」 と小さく呟いた。 俊太郎は、壬生へ向かいまた歩き出す。 …が ガッシャーン!!! 大きな音がした。 何かを叩きつけるような そんな音 顔を音のした方へ向けると、浪士が店を壊しながら店主に刀を向け、女の店員を羽交い締めにしている光景が見えた。 周りは助けようともしない。見てみぬふり。 俊太郎は周りに呆れながらも そちらへ向かっていく。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加