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暗に話聞いてなかったよ、と伝えたかったのだがユキは話つまらなかったと取ったようで不機嫌そうに鼻をフンと鳴らした。
「コウヘイは人の話を聞かないから神様がそんな姿にしたんじゃない?」
「ん。ユキは少し怒りっぽいからそんな顔立ちなんだろうな…」
そうじゃなきゃ…。
「「きっと直ぐに愛想尽かされて一生独りで人生終えてるハズ!!」」
同時に同じ言葉を吐き俺とユキは、にっと笑った。
「ユキ、俺が居て良かったな。独りじゃないじゃん」
「え?僕はみんなから愛される可愛い系男子だよ。何言ってるの?コウヘイこそ、独りで無くて良かったね。僕に愛想尽かされないように頑張って」
「ユキが愛想尽かすって…。その前に俺が何回愛想尽かせるか…」
「コウヘイは失礼だね。僕がワガママみたいじゃん」
そうじゃないの?なんて口にしたらユキはまたフンと鼻を鳴らすだろう。
「ユキってホント、俺のこと嫌いだよな?」
「え?今更気が付いたの??当たり前じゃん」
ユキがそういって嬉しそうに笑う。そして悪戯っ子のような顔を浮かべた。
「僕は一人が好きだけどコウヘイが独り嫌いって言うから仕方なく一緒に居てあげてるんだよ」
感謝してよね、って恩着せがましく言葉を吐く。
「俺は一人の時間大切にしてるのに、ユキが『構って構って』ってしてくるんじゃなかったっけ?」
「え?…んー、じゃあ仕方ないからそれでいいよ」
ユキがめんどくさそうに俺をあしらった。
「…なんか俺が子どもみたいじゃん」
「え?コウヘイは子どもでしょ」
そしてまた見せる嬉しそうな笑顔。
「…ユキってさ、俺をいじめるとき嬉しそうな顔するよね」
呆れてそんな言葉を吐くと、
「そりゃコウヘイのことが嫌いだからね!」
なんて弾んだ声で返された。
好きって言ってもいいんだぞ、この天邪鬼がってユキに軽く笑む。
「あ…そうそう、そんな顔だった」
突如、思い出したようにユキは手を合わせて嬉しそうに笑った。
「え?」
「ねぇ、今日犬に睨まれた話なんだけどね…」
「…それは笑った俺の顔を見て思い出したんですかね?」
胸が痛むような演技を付与してユキに尋ねる。
「え?…うん。だってコウヘイの笑った顔がそっくりだったんだもん」
ん、笑った顔だって分かってるのか。
写真に写った自分の笑顔見ても平素とどう違うか判別出来ないのに…。
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