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「話は終わったようだな」
扉の前で聞き耳を立てていたのかというようなタイミングで入ってきた櫻庭さんに、「盗み聞きしてました?」と呆れ笑いを見せるクロード。
櫻庭さんはそれを否定せずに俺に向かい直る。
「お前の処遇は明日の朝までに決める。それまで部屋で休んでいろ」
まず否定して欲しかったなー、と思いながら「仮だけどネージュって名前になりました」と彼にも一応報告しておく。そういえば隊長ということはそこそこ偉い立場なのだろうか。その割には偉ぶるところもないように見える。
「そうか。よろしくな、ネージュ」
差し出された包帯が巻かれた手を見つめ、躊躇いながらそれを握る。しっかり握り返して来たところを見れば、どうやら怪我をしているわけではなさそうだ。
「処遇を決めるといっても悪いようにはしないから安心しろ。お前は部下の恩人だからな」
そう言われ、人は見かけに寄らないなと彼とクロードに視線を向ける。クロードもああ見えて結構真面目そうだし。
「部屋に案内するからついて来い」
クロードに一礼して、櫻庭さんの後について行く。特に会話がないまま基地の外へ一度出て、寮と呼ばれる建物内へ入り、何階分階段を上がった後、部屋へとつく。渡された鍵には305という番号が付いていて、部屋の番号と一致していた。
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