3人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋についているシャワーで汗を流した後、先ほどまで着ていた服を着る。とはいってもこの白コートはちょっと季節には合わないんじゃないだろうか。そう思って、ベッドの上に畳んで置いておくことにした。
中途半端な時間に寝て起きたせいか眠れず、部屋の窓から街を眺める。C.D.の基地は意外と街中にあるらしく、夜でも町明かりが明るく外を照らしている。あの化け物――イリーガル、だったっけか。アレに関してもクロードに聞いておけばよかったなあ、と後になって多くの聞きたいことが浮かぶ自分に少しだけ呆れる。
いくら記憶がないからって焦りすぎだ。自分のことよりこの場所で生きることを優先すべきだというのに。
見る限りC.D.――シャスールは戦闘職だろう。イリーガルを狩る組織。あの程度なら俺にでもできそうだ。できればここで使ってほしいのだが――それを決めるのは俺じゃなくて向こうだ。
ゆっくりと少しずつ夜が明ける。朝が来る。朝が来てももちろん俺の記憶が戻るわけもなく、ただ目の前の景色がゆっくりと白んでいくのを見つめているだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!