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案内されたのは、基地のような建物だった。やはり組織的なものなのだろう、同じような制服を来た人間が基地内を歩いている。どうやら櫻庭さんというらしい彼に着いていってそのまま中に入り、廊下を歩く。先ほどから隣にいる少女に「えーと、なんて組織だっけ?」と問いかけてみる。レ……レなんとか。
「Le chasseur du dmon(レ・シャスール・ドゥ・デモン)です。あ、覚えにくいならC.D.でもシャスールでも問題ないですよ」
あれ、俺この子にアホの子扱いされてる……? いやまさか。
「シャスール、か。さっきの襲ってきた……イリーガルだっけ? それってどういう――」
言い切る前に、廊下の反対方向から歩いてきた男に意識が向いた。白いウェーブがかった白髪に、金色の両の瞳。そして、何故か裸白衣。なんだこの変態。
「……相模の旦那?」
ソイツは慣れたように誰かの名を呼ぶ。誰だ? さがみ? 俺の名前? ダメだ、何も思い出せない。いや――思い出したくないのかもしれない。頭を押さえつけてその『名前』が引き起こす頭痛に耐える。
「おい、大丈夫か? お前半裸やめろっていつも言ってんだろ。それに相模ってのはコイツの名前か? 記憶がないって言ってたが」
櫻庭さんに向かい、大丈夫だという意思を示してから目の前の男に向かい直った。
「記憶がない……?」
おさまってきた頭痛に安堵の息をつく。彼はどうやら『俺』を知っているらしい。
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