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『さあ、答えて下さい。俺が欲しい?』
『……俺は、』
「………ってば、ユーくんってばぁっ」
寝起きに"厳しい"甘ったるい声。
別に甘ったるい声が嫌だと言うわけではない。
コイツの声だから、嫌いなのだ。
「何でいるんだよ、お前」
早朝から他人の部屋に侵入した挙句、俺に馬乗りしている仮にもれっきとした生徒会会計四ノ宮亜希はお得意の笑顔を向けた。
「……おっはよー☆ 元気だったぁ? ユーくん」
「重い」
「でもぉ、うなされてたんでしょ? 俺に起こして貰って良かったんじゃないの?」
「…………毎度の事だから構わない」
そもそも、あの日からだ。
無駄にあの園原の夢を見る。
そして何時も何時も、俺が答えようとした瞬間に目が覚めると言う繰り返し。
園原が嫌いとか最早そう言う問題ではなく、今となっては答える寸前に目が覚める事に歯痒い気分で、寝起きが悪い。
「ほらぁ、汗掻いてるよぉ?」
「近い。近い。退け」
「相変わらずの対応で安心したよぉ」
「……お前は相変わらずじゃねーな」
「何で? 俺も通常運転だよぉ」
不思議そうに俺の顔を真正面から覗き込む会計。
「あ、ユーくんって顔綺麗だけど、目は濁ってるねぇ。どんな社会の闇で生きてきたの?」
「……仕様だ。諦めて下さい」
「まぁ、そうなるのも分かるよぉ? これだから、モテる男子は大変だよねぇ」
「……違った意味で捉えているが、もう良い。早く退け。遅刻する」
「遅刻だなんてぇ、まだまだ大丈夫だよっ」
あ、そう言えば、まだ聞いてなかった。
「お前、どうやって侵入した?」
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