王道の始まり

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五月――。 ゴールデンウィークが終わり、今月の祝日は終わってしまった。 休日は学校に一切行かなくて済んだのにな。 名残惜しく、俺、佐伯憂は教室の窓の外へと視線を向けた。 この学園とは違い、空はこんなにも広く、自由だ。 「……あーあ、夏休みはまだかな」 そんな俺の独り言は教室の騒音に掻き消されていく。 誰も俺の声は聞いていない。 まあ聞かれない前提で話したのだが、 「独り言、煩い」 前の席の奴には聞かれていたようだ。 俺は気持ちを入れ替えて、何時もの愛想笑いを浮かべた。
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