王道の始まり

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「聞こえちゃった?」 「ああ。耳障りな声がな」 振り返って俺を見て、人の悪い笑みを浮かべるのはクラスメイトの永塚透也。 このクラスで唯一喋る奴であり、現在進行形で利用させて貰っている。 お互いこの学園では珍しい庶民と言う事もあるのだが、コイツの性格は淡々としていて、付き合い易い。 おまけに"今の俺"を存分に嫌って頂けているのだから、俺にとっては好印象だ。 「お前の独り言は本当にバカと言う事を表していて滑稽だ」 こんな事言うから、友達出来ないんだよ。 言ってやりたいが、自分のキャラ上それが許されない。 「場を弁える事だな」 鼻で黙っている俺に嗤い、永塚は元の読書へと戻る。 お前のそのキャラも場を弁えた方が良いよ。 とは言えず、俺も元の『窓の外の空をバカみたいに眺める』に戻った。
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