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「んあ、」
ぼくはねむい目をこする。
まッ昼間だ。起きあがると、変なぐあいだ。
きのう越してきたばかりの部屋の壁には、窓がある。
そのでかい窓‥通路側にある鉄線格子入りの磨りガラスの窓だ‥に、ゆうれいのように人影がうかぶ。
ドアを開けると、宗太(そうた)が知らない女をつれてそこにいた。
宗太はきのうの引っ越しを手伝ってくれた、この町でただ一人のぼくの友だち。
宗太は「よお!」といって、そのまま上がり込む。
知らない女も「よぉよおー♪」といって上がり込む。
知らない女は「えりん💓」とゆーらしい。若い骨と皮だ。
宗太が菓子パンとポテチを鞄からだして、えりんがブラックニッカクリアブレンドのびんを服のどこかからだしてきた。
宗太の言うのには、「オレはちゃんとカネ払ってきたけど、えりんのは万引き」だそうだ。
とりあえず、ぼくはそれを、遅い朝ゴハンにすることにする。
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