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「恥ずかしいんですけど、香水売り場で、探しました。店員さんにイメージだけ伝えてピックアップしてもらって」
「鼻だけを頼りに? すごい!」
「見つけたんです。微妙に香りは違ったけど、香水の名前を聞いて確信しました」
ああ、香水は肌に置いた瞬間から香りが変わるし、麻衣子はほんのりしかつけないから余計に分かりづらかったはず。なんかいじらしいなあ。ん? 待てよ?
「遼一君は最初から麻衣子に惹かれてたってこと?」
「そうかもしれません。でも彼女がいたのも事実ですし」
香水売り場で、香りを探し当てた遼一君は買わないわけにもいかず、プワゾンを購入した。たまにその香りを嗅いでみたという。
「変態みたいで恥ずかしいんですけど、香りを嗅ぐと頭の中麻衣子さんで一杯になりました」
わあ。耳まで真っ赤になってる。さぞかし恥ずかしいこともたっぷり考えたのだろうね。
「それで、今まで女の子に抱いていた概念みたいなのが足下からガラガラ崩れていきました。」
「概念?」
「自分がそういう子ばかりと付き合っていたからかもしれませんけど、女の子って、さして恥ずかしくなくても恥ずかしがったり、さして可愛いと思ってなくても可愛いって言ったり、そういう複雑怪奇な生き物だから、そういうとこも受け入れていかなきゃいけないと思っていたんですけど、なんかそういうの全部偽りだと思えてきて」
すごいなあ遼一君。一応そういう女の子には疑問を抱いていたわけだ。
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