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女には許されてる、あざとさがある。
それは、小学校高学年くらいから、どこのメーカーのシャンプーがいい香りが持続するのかという女の子同士の密談から始まり、延々と暗黙の了解で許されている演出だ。
それもこれも、大抵の男子が求めるものだから、需要に合わせる賢い女の子の知恵のはずだけれど、あまり賢明ではないと私が思っているのは、引っかかる男(きっとオヤジになったら、女は若いのに限るとか言い出しそうな男)があまり魅力的に思えないからだろうか。
それとも、そういうことは酷く面倒くさいと思い始めているからだろうか? それにしても遼一君のように、それに気づいて見て見ぬ振りをしてきた男の子もいるのだなあ。でもなんで概念が崩れたんだろ?
「麻衣子さんがああいうことしてきたかなって、考えたんですけど、絶対ないなって思えて。いきなりですけどあんなふうに正直にストレートに言うし、それにあの視線」
そうか! 麻衣子に当てはめてみたのね。そりゃあ麻衣子は昔からあのままだもの。
遼一君はふーっと大きく息を吐いてこう続けた。
「麻衣子さんのあの視線。僕、視線で人が犯せるなら何十回も犯されてるだろうって感じました。そんな人が僕の概念に当てはまるわけないって。」
ほほう。遼一君はあの視線をそう受信したのね。そりゃあ落ち着かないはずだね。
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