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もんもんもん。とこの週末は金曜日の石崎君の行動を脳内で何度も再生して考えた。
結論! やり方はどうかと思うけれど、ちょっとときめいたのはいい傾向だと思う。という考えで落ちつきましたよ。時には成り行きに身を任せてもいいかもしれない「投げやり」にはなっていないはず。
オフィスに入るとすでに出社していた麻衣子とさやかちゃんが何やら話している。
「おはよう」
「おはよう百合江ちゃん」
「おはようございます」
今日もいつものように満腹の猫のさやかちゃん。
「土曜日に直ちゃんの実家に正式にご挨拶に行ってきました」
「へえー。そうなんだ? またそりゃあ、ご実家の方たちは両手をあげて大喜びだったんじゃない?」
直ちゃんの実家は横浜なので、さやかちゃんはこれまでもちょこちょこ、直ちゃんの実家に遊びに行っているみたいで、直ちゃんが初めてさやかちゃんを連れて行った時に、直ちゃんの家族は、全員口を揃えて、
「奇跡が起きたとしか思えない」
と大喜びしてくれたのだそうだ。
なんでも、直ちゃんのご両親も、ご実家の病院を継ぐ予定のお姉さんも、
「直也は結婚できないに違いない」
と諦めていたので、さやかちゃんが来た時は大騒ぎだったそう。いいよなあ。好きな人と結婚して、その先の嫁姑問題も大丈夫そうなんて。麻衣子がにこやかにこう言った。
「さやかちゃんは『眠り姫』みたいな苦労はしなくてすみそうね。喜ばしいかぎりね」
「『眠り姫』の苦労ってなんですか?」
「ああ、それはね」
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