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言われてみれば、そうだなあ。一人か麻衣子と来るかだもん。山さんはニコニコしながら、健吾の方を見た。
「男前だね。さすが麻衣子ちゃんの見立てだね」
「ははっ。そうですか?」
山さんと健吾は自己紹介もそこそこに雑談した。
私のくつろぎの場所で違和感ないのは素直に嬉しいかも。こうして見ると健吾って山さんの言う通り男前だな。しげしげと健吾を見ていると、健吾が黒い笑みを浮かべた。
「何? 俺に見とれてんの?」
「そんなことない!」
手が空いて雑談に加わっていた遼一君がカラカラと笑った。
「百合江さん、早く認めた方がいいですよ。もっといじめられるだけですから」
「経験者もそう言ってることだし、認めろ!」
私のサンプルの恋人は本当にドSなのかもしれない。
夜も更けて、UNITEを後にした。健吾は先週と同じように、私の部屋まで送ると、こう尋ねた。
「明日空いてるか?」
「空いてる」
「じゃあ、俺のマンションに昼前に来て。どっか行ってもいいけど、今週はお互い疲れてるし、今日は百合江のテリトリーに入れてもらったから、今度は俺の番」
テリトリー。ああUNITEのことね。
健吾は自宅までの道のりをざっと説明してくれた。
「じゃあ、明日ね」
健吾はあっさり帰って行った。広い背中を見送りながら、何か微妙に構えていた私は拍子抜けな気分で部屋に入った。
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