4 サンプルの恋人

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言われてみれば、そうだなあ。一人か麻衣子と来るかだもん。山さんはニコニコしながら、健吾の方を見た。 「男前だね。さすが麻衣子ちゃんの見立てだね」 「ははっ。そうですか?」   山さんと健吾は自己紹介もそこそこに雑談した。   私のくつろぎの場所で違和感ないのは素直に嬉しいかも。こうして見ると健吾って山さんの言う通り男前だな。しげしげと健吾を見ていると、健吾が黒い笑みを浮かべた。 「何? 俺に見とれてんの?」 「そんなことない!」   手が空いて雑談に加わっていた遼一君がカラカラと笑った。 「百合江さん、早く認めた方がいいですよ。もっといじめられるだけですから」 「経験者もそう言ってることだし、認めろ!」   私のサンプルの恋人は本当にドSなのかもしれない。 夜も更けて、UNITEを後にした。健吾は先週と同じように、私の部屋まで送ると、こう尋ねた。 「明日空いてるか?」 「空いてる」 「じゃあ、俺のマンションに昼前に来て。どっか行ってもいいけど、今週はお互い疲れてるし、今日は百合江のテリトリーに入れてもらったから、今度は俺の番」   テリトリー。ああUNITEのことね。   健吾は自宅までの道のりをざっと説明してくれた。 「じゃあ、明日ね」   健吾はあっさり帰って行った。広い背中を見送りながら、何か微妙に構えていた私は拍子抜けな気分で部屋に入った。 .
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