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というわけで『サタデー・ナイト・フィーバー』を見ることにした。
当時のファッションとかヘアスタイルなんかに突っ込みをいれつつ、最後まで見た。予想していたストーリーと違って、物悲しいラストだった。エンドロールが流れて、ボンヤリしていると、健吾がそっと私の手を引いて抱きしめた。
健吾は人差し指で私の輪郭をゆっくりなぞると、今度は親指で下唇をそっとなぞってからキスをしてきた。
どれくらいしていたのだろう。
うーん。このまま流されちゃうかんじかな? 約束とは違うけど。と私がチラリと考え始めていた時に、健吾はゆっくり体を離した。
「流されないから、安心しろよ。でも、これはいいだろ?」
そう言って、もう一度キスをした。
「昨日はかなり期待してくれてたみたいだし?」
「いやあ。期待してたんじゃなくて、拍子抜けだっただけで」
「似たようなもんだろ?」
うーん。そうなのか? 微妙に違うと思いたい。
それから、音楽を聞きながら、ダラダラと過ごした後、近くの美味しい焼酎を出すお店に行った。
健吾と一緒にいると不思議とくつろげている、自分に気がついた。こんな風に始まるのも悪くないと思い始めていた。
たとえ、ほとばしるような情熱はなかったとしても。
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