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新卒は採用しないという言葉にアルバイトの美奈ちゃんと結衣ちゃんがしょんぼりした。彼女たちは学生のアルバイトで、そろそろ就職活動を視野にいれなければいけない時期だ。
二人がここでずっと働けたらな。と思っているのは、周知の事実。
おいおい、麻衣子! いじめっぱなしにしないで早く言ってあげなよ。
「例外もあるわよ。美奈ちゃんと優希ちゃん、卒業後、ここで社員になりたいなら、就職活動はしなくてもいいわよ。条件は暇な時に百合江ちゃんに聞いてね」
しょんぼりしていた二人が、ぱっと笑顔になった。
もう。かわいいスタッフを細かくいじめるの。
やめて!
「自社ビルの一階には自社製品メインのショップをいれるわ。それと最大の目的は最上階に託児所をつくること」
「託児所?」
スタッフがざわついた。
麻衣子とずっと考えていたのだ。まあ、私は置いといて麻衣子だってさやかちゃんだって他の女性スタッフだってそのうち結婚していつかは出産する。
女性が働く時代だと言っても、子どもを持ちながら働くのは至難の業だ。
保育園が空いてない。保育料が高すぎるという現実もあるし、子どもの事を思って仕事を辞める女性は多い。
ましてや、うちは少人数精鋭がモットーでスタッフはなんでもやりこなす。そんな優秀な人たちに働きつづけてもらう為にも、自社ビルを持ち、託児所を作るというのは、私と麻衣子の成し遂げるべき目標だった。そのために、コツコツと着実に業績を上げてきた。
そして、実現させる為には、事業を拡大させるしかない。SEASONSの大勝負が始まる。
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