僕の彼女は女神様④

10/21
前へ
/21ページ
次へ
僕は思わず、手元にあった華奢な、僕が洗うとすぐ割れそうなティーカップの紅茶を啜った。 フォートナム&メイソンのロイヤルブレンド。 姉さんの常備薬みたいな紅茶。 ここまで、されるって、姉さんはいったいここでいくら使ってるんだろう? 「直也!! さやかちゃんのサイズは?」 「……。知らない」 「何ですって?」 「知らないんだ。指輪にサイズがあるって今気がついたくらい」 お茶をだしてくれた店員のお姉さんの笑顔が引きつった。 それに構わず僕はお姉さんに質問をした。 「あの、指輪のサイズってどうやってはかるんですか?」 お姉さんは、スーツのポケットから、指輪の様なものが、たくさんついた輪っかの鍵の束みたいな物を出した。 「店頭ではこれで、はからせていただいております。リングサイズゲージと言うものなんですが」 「直也! あんたまさか、さやかちゃんに今まで一度もプレゼントした事ないわけ?!」 「プレゼントは何回かした事あるけど……」 さやちゃんがプレゼントして欲しいっていう物……。 一番最近だとクリスマスに欲しいって言われた『銀河英雄伝説』のスペシャル特典つき、DVDBOXだった。 「やっぱ直ちゃんはヤン様に似てるの。もうヤン様カッコよすぎ」 僕は別にヤン・ウェンリーには少しも似てないけど、さやちゃんがそう言うのが嬉しかった。 「貴金属的な物は一度もないんだ。あの、そのサイズはかるヤツって貸して貰えませんか。必ず返しますし、指輪もここで買いますから」 イレギュラーすぎる注文の筈なのに、店員のお姉さんは、こころよく貸してくれた。 .
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

492人が本棚に入れています
本棚に追加