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手ぶらで帰るのも何なので、お姉さんに、婚約指輪や結婚指輪を見せて貰った。
「ご婚約者様は、どのような装いが多いですか?」
そう聞かれて、こないださやちゃんが、コスプレのイベントで着てた衣装を思い出した。
「めが……」
姉さんの鉄拳で、僕は今度は最後まで言う事ができなかった。
「ちょっと甘めなガーリーなファッションが似合う子で、色はパステルカラーとか、そうねえ、やっぱりピンクが好きそう」
手袋をしたお姉さんが、じゃあ、これなどいかがでしょう?
と並べてくれた。
「あ、これがさやちゃん好きそう」
「えっ。こっちじゃない?」
「姉さんの手なら似合うかもだけど、さやちゃんの手めちゃくちゃ小さいんだよ?指も細いんだから。こんなおもりみたいな石がついてるの似合わないよ」
「ムカつく。でも、そうねえ。あんたの言う事にも一理あるし、これ可愛いもんね」
サイズ分かり次第また来ますと行って、僕と姉さんは店を出た。
散々騒いだ姉弟にタダで付き合わされたお姉さんに、少し、同情しながら姉さんのレクサスに乗り込んだ。
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