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結婚。
となると、プロポーズ?
さやちゃんと僕との事をこうして思い返すと、僕は、女の子が思い浮かべそうなロマンチックな事を一つも、さやちゃんにしてあげてない。
プロポーズくらい、そういう事をしてあげたいなって、柄にもなく思う。
「ねえ、姉さんはお義兄さんにどんな風にプロポーズされたの?」
「え?」
姉さんは、珍しく顔を赤くした。人には言えないタイミングで言ったのかな? お義兄さん。
「あ、言いたくないんだったらいいけど、姉さん的にロマンチックなプロポーズってどんなの?」
「そりゃあ、やっぱサプライズじゃない? 欧米みたいに跪いて指輪とか」
「指輪かあ」
「あんた、ちなみに年収と貯金はいくらあんの?」
僕がさらっと告げると、姉さんは目を丸くした。
「なんで、医者の私よりずっといいわけ?!」
「あ、でも、自営業みたいな物だし。人気商売みたいな感じだから、今年はそうだっただけで、来年はわかんないし」
「てっきり、指輪買うお金ないとか言うんだと、思ってた。そうだったら、用立てて上げようと思ったのに。心配して、損した!!」
姉さんは、僕に対する扱いが酷いけど、こういうとこ過保護だ。僕のコミニケーション能力じゃ医者にはなれないから、私が家継ぐ!
って毅然と言って僕に自由をくれたのも、姉さんだった。
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