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「な…何だこいつ。強ぇぞ」
「何なんだあの力は…」
山賊共は剣を構えながらも遠巻きに俺を囲むだけで動かない。
「てめぇら!なにビビってやがる!相手は餓鬼一人だぞ?
一斉にかかれ!」
山賊の頭らしき男が命令を出す。
頭は他のものより頭一つ背丈も大きく体つきもガッチリしている。
ジリジリと近づいてくる山賊共。
そして一人の雄叫びとともに一斉にかかって来る。
「チッ…もうどうにでもなれ!」
って素手じゃどうしようもねぇ。
コツッと足に当たる鉄の感触。
「ハッ…やってみるか」
俺は剣を拾うと、ぎこちないながらも構えてみる。
「くっそぉぉぉ!!」
適当に振り回した剣は凄まじい早さで山賊共を切り裂き、その早さについてこられない空気が真空となり、衝撃波となって周りを襲う。
「「「ぐわぁぁ!」」」
俺の周りには一人の山賊として立ってはいない。
奥に立ち尽くした頭を除いては。
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