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「…仕方ない」
「あ、ありがとう夏樹!!」
「死ね!」
歓喜の顔から一瞬で絶望の表情を見せる連夜の首に体を捻って手刀を叩き込む。
さすがに上手く力が伝わらなかったため気絶はしなかったが、うずくまった。
その隙に、魔法陣から離れて連夜を生贄にする。
よかった。この魔法陣着いて来ない。
「とりあえず一人で頑張れ。どうせ、また会うことにはなるだろ」
「ちょっ---」
目を開けてられないくらい魔法陣が輝くと連夜の声も消え去った。
この光が止めば、連夜のいない日常の始まりか…
「少しさみしいかな…」
連夜くらいしか本当の俺を知っている奴なんていなかったし、素の自分でバカできる相手がいなくなるのか。
「異世界も楽しそうだったんだけどーッ!!」
魔法陣の光が止むと同時に強い風が吹き荒れて、俺の体を吹き飛ばす。
「…いって。尻もちついただけだが、いきなりだったし骨打ったじゃん」
まさか、俺が召喚されそうになるなんて…普通巻き込まれる側だと思ってたのに。
はぁ、とため息を吐いて立ち上がろうとした瞬間、嫌な音が耳に入った。
「いきなりゲームオーバーですか。これなら連夜と一緒に行ってもよかったな」
猛スピードでこちらに向かってきたトラックに激突して、俺の意識は刈り取られた。
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