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光を潜り抜けるとそこは、十数本のろうそくが照らす、薄暗い部屋だった
部屋の壁は全て無機質な白いレンガで埋まっている
部屋に漂う、硫黄の鼻をつく悪臭
前には巨大なペンタクル(三角形を二つ合わせた六亡星)に立つ美しい少女が
少女の肌は暗い部屋でもわかる程白く
対照的に長い髪は周りに溶け込む程黒い
固まった体を動かそうと、立ち上がろうとする
しかし体はだるく、鎖は重い、立ち上がれない
それどころか羽一枚も動かない
そんな僕を見かねたのか、少女が口を開いた
「……あなたが悪魔?」
……悪魔?……
……僕が?……
「そう呼ぶ人間や精霊もいるね、でも嫌だな、そんなふうに見えるかな?
僕が悪魔に見えるかな?、確かに鎖に繋がれて氷付けだけどさ……」
少女は首を傾げる、暗くて表情が見えない
「あなたは堕天使ルシファー?」
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