妹は招待特典目的のようです。

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妹の大きな声で、俺の朝は始まった。 今は真夏。汗が俺背中、ろくな筋肉のない腹、そして額を滴り落ちていく。 セミの鳴き声が、ミンミンと鳴き声をあげ、夏を感じさせる。 まぁ、暑さで夏は十分感じてるけど...... 俺は、重たいまぶたを無理やり開き、俺を起こしたふとときものを見る。 母さんでないのは確信していた。なんせ、母さんに起こされる時の声は、家の中でこだまするぐらい大きさだからだ。 「なんだよ......凛......」 俺の目の前にいるのは、仁王立ちしている女の子。俺の妹だ。髪は二つ結びのツインテール。顔は整っていて可愛く、身長があまり高くない。まるでお人形さんみたいだ。 おっと、言っておくが、ロリコンじゃないし、シスコンでもない。 「もう9時よっ!いつまで寝てんのよ!」 「まだ9時じゃねぇか......しかも、夏休みだぞ?楽しまなきゃ」 凛は大きなため息をついて言う。 「お兄ちゃんの楽しみは寝ること?暇そうね」 めっそうもない。暇だなんて......。 はい、暇です。 理由をいう前に、自己紹介がまだだった。俺の名前は、東大寺 一(トウダイジ ハジメ)。高校三年生。運動神経は平均並みだが、頭は良い方だ。 だから、俺は夏休み前だというのに、一流大学の推薦が決まっている。そう......"夏休みを制するときは、受験を制する"と言われる夏休みが、めちゃめちゃ暇なのだ......。 「べ、別に暇じゃね、ねぇし......」 「嘘つくなああああ!」 俺のアゴに、渾身のアッパーをくらわす妹。容赦はない......というより、容赦を知らない......。 「は、はい。嘘です。すいません」 こいつを怒らせると面倒なので、起きることにした。
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