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肩を掴む彼の手が熱く、その熱が焼けるように広がっていく。
走ったせいで、息切れと共に揺れる互いの体。
目頭に、熱が集まる。
泣くな、絶対に泣くな。
これ以上、カッコ悪くなりたくはない。
「勘違いしないでよ。
私、あなたのこと大嫌いだから。
二度と私に関わらないで」
苛立ちと悲しさで胸焼けがする。
彼は感情の読み取れない空虚な瞳で、ただ私を見つめていた。
肩に置かれた手
触れたくてたまらなかったはずのその手を、振り払って歩き出す。
自分の身体中の熱が移ったような、赤い夕焼け空が、涙で滲んだ。
その空の色も、彼の顔も、手の熱も
忘れられない苦い思い出となり
14歳の私の胸に焼き付いた。
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