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「ほんっと可愛いげないよね!ちづは!」
わざとらしくない高めの声。
柔らかく女の子らしい声の由里子は、ぷんぷんっとでも言いそうに頬を膨らませて私を睨んでいる。
普通ならぶりっ子だと敬遠されがちなその様子が、こんなにも素直に愛らしいと思えてしまうんだから、彼女はズルい。
女の私から見ても可愛い。
「…由里子はほんっと可愛いよねぇ…」
「えっ」
ぽろりと漏れた本音に頬を染める由里子。
なんなのこの子、可愛すぎデショ
「えっと、何の話だった?」
「あっ、そうそう!あのねっ…」
ヘッドホンのコードをくるくるとiPodに巻き付けながら由里子の話を聞こうと体の向きを変えたとき
「あそ部の入部希望者いませんかぁー?阿蘇くんと遊ぶ部活でーす!」
大きすぎるその声に、教室にいたみんなの視線が一点に注がれる。
「えー?あたし入部したーい!」
「俺も俺も~」
何が楽しいのかキャハハと騒ぐ数人のグループ。
その中心にいる、一際目立つ明るい茶色の頭が飛び上がる。
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