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PM4:35
エンドロールが流れ、ちらほら席を立ち帰って行く観客
そろそろ俺たちも、と思い、千晃に目をやると
………案の定、ぼろ泣きの彼女がいた
千「……ふぇ……グスッ……」
俺は黙って彼女を抱きしめた
よしよし、と頭を撫でてやるとこちらに身体を寄せる彼女
…あぁ、幸せ
俺も映画に感動したが、こういう彼女の行動の方が俺的に嬉しい
気付けば映画館内にいた観客は皆帰り、広い映画館は俺と千晃だけの空間になった
千「…グスッ……にっしー、ありがとう、もう大丈夫…!」
俺は名残惜しく千晃を離した
西「ふふっ、千晃顔ひどいぞ~笑」
千「だって~!」
俺は未だに千晃の目から流れる涙を優しく拭いた
『…お客さま、申し訳ありませんが…』
このいい雰囲気に誰だよ邪魔したの、と思ったのもつかの間
ここは映画館、次の放映のために清掃員が来ていた
「「す、すみません…!」」
俺たちはそそくさと映画館をあとにした
千晃と繋いだ“手”を離さずに
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