ヒーローの宿命

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「ハァ、ハァ!ブラックマント!俺たちの長い戦いも遂に決着の時だ!」 この10年近く続いた戦いが終われば、ようやく俺にも平穏が手に入る。 「フフフ、やるな!レインボーマン!」 ブラックマントは光沢のかかった黒い仮面の下から薄ら笑う。 「だが、まだまだだ!くらえブラックチョップ!」 「グァァァ!!!」 ブラックマントの強烈一撃を喰らう!俺は膝から崩れるように落ちた。さすが最後の敵、一筋縄でいかない。 ・・・だが負けない!負けるわけにはいかない!家族と過ごす平穏な生活のために! 俺は額に手を当て体中のエネルギーを集中させる。額は色鮮やかな虹色に発色した。 「ブラックマント!これが最後だ!俺のフルパワーを受けてみろ!」 「レインボーウルトラスプラッシュ激おこプンプン丸頭突き!」 俺はブラックマントの光沢かかった仮面に向かって飛び込んだ! 「グァァァァァァァァ!!!!」 ブラックマントの仮面は粉々になり、吹き飛んだ! 「ハァ、ハァ・・・終わった」 俺は動かなくなったブラックマント見つめながら呟いた。ブラックマントの粉々になった仮面の下から、素顔が見える。 「・・・と、父さん!?」 その素顔は年老いたとはいえ、紛れもなく俺の父だった!俺は駆け寄り父を抱いた! 「と、父さん!な、なぜ?あなたが・・・」 最後の力を振り絞る様に父の目が開く。 「つ、強くなったなぁ。り、立派なヒーローになった!」 父は子を見る優しい目をしている。 「父さん!なぜなんだ!なぜ悪者に!」 父はゆっくりと腕を上げ、俺の肩に手を添えた。 「そ、それはいずれお前にも分かる日が来る。・・・すまないな、こんな父親で。お前のような誇り高い息子を持って俺は幸せだった…」 そう言うと静かに眼を閉じ、霧のように消えていった。黒いマントだけを置いて。
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