こたえ

4/7
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
遠くを見つめる目は何も写していないような。もはや世界を拒絶しているかのような。 こんなけーじろーを見た事がなかった。おれは、なんと声をかけて良いのか分からなかった。 おれに気付いたけーじろーは、直ぐにいつもの顔になって「どうした?」って言って笑った。 自分の事は後回し。 「どうして?」っておれは言いたかった。なんでそんな顔してるの、なんで笑っているの。 でもけーじろーは、おれにどうした?って聞いた。おれは何も聞けなかった。 何も言ってくれないのは、おれが頼りないから? けーじろーにはおれ以上に信頼出来る人がいるの?その人には弱音を吐き出すの? 胸のあたりがチクン、と痛んで涙が滲んできた。 きっと、これは『かなしい』。 けーじろーがおれに何も言ってくれないのが、『かなしい』。 .
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!