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遠くを見つめる目は何も写していないような。もはや世界を拒絶しているかのような。
こんなけーじろーを見た事がなかった。おれは、なんと声をかけて良いのか分からなかった。
おれに気付いたけーじろーは、直ぐにいつもの顔になって「どうした?」って言って笑った。
自分の事は後回し。
「どうして?」っておれは言いたかった。なんでそんな顔してるの、なんで笑っているの。
でもけーじろーは、おれにどうした?って聞いた。おれは何も聞けなかった。
何も言ってくれないのは、おれが頼りないから?
けーじろーにはおれ以上に信頼出来る人がいるの?その人には弱音を吐き出すの?
胸のあたりがチクン、と痛んで涙が滲んできた。
きっと、これは『かなしい』。
けーじろーがおれに何も言ってくれないのが、『かなしい』。
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