夜の世界

3/4
前へ
/82ページ
次へ
おばあちゃんが夜に出かけてしまった。 ぼくは帰ってこないんじゃないかって思って泣いて、家のドアの鍵を開けた。 おかあさんもおとうさんも寝ているはず。 ドアを押して開ける。 おもっていたよりも明るくてほっとして、夜を見る。 誰かがぼくを見ている。 おばあちゃんかな。 くらいせかいを見回して、誰かをさがした。 見つけた誰かは上にいた。 そっか。 夜にカーテンを閉めるのは、あれにこっちをのぞかれないようにするためだったんだね、おばあちゃん。 あんなにいっぱい眼があるなんて、おばけみたいだ。 きっとおばあちゃんたちはあれに食べられちゃったんだ。 だってほら、口がある。あんなに赤いのは何でだろう? ぼくはなんだか泣きたくなって、家のなかに戻った。
/82ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加