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廃墟のコンピューターに残されていた地図を頼りに星へと接近し、降りられる場所を確認すると機体を慎重に着陸させた。一見、安全そうな星でも何が起こるか分からない。緊急時には、すぐにでも離陸できるようにしておかなくては。
だが、そんな心配はすぐになくなった。この星は自然が豊かで安全な星であることが分かった。どう猛な動物もいなければ、危険な植物もない。
「この星に宝があるのか」
今までの危険な星に比べると随分と穏やかな星だ。
しかし、私の目的は観光ではない。宝を求めてやってきた。環境の良いだけの星なら、宇宙にはいくらでもある。そんなありふれたモノよりも、私は本来の目的である宝を探す方が大事なのだ。
周囲の安全を確認しながら、私はさっそく単車に乗って宝探しに出向いた。
手持ちの端末に宝の情報をインプットしておいた。これで、いつでも宝がある場所に正確に行くことができる。ただ、廃墟に残されていたデーターが古いというせいもあってか、幾つか欠けている箇所もあった。一度失われたデーターを完璧に復元するのは難しい。それは、時間が経てば尚更だ。一応、地図と宝がある場所を示す文章を引き出すことには成功したが、宝というのが、どういったモノなのか皆目検討もつかない。ただ、名前の響きからして凄いという印象だけは私は受けた。それに、分からない方が、探す楽しみがあるという話だ。
ところが、どんなに進もうと宝は見つからない。地図を頼りに山を登って探してみるも、どこにもない。
「おかしな」
地図を見直すも、場所は間違っていないはずだ。多少の誤差はあるにしても、宝ははこの近くにあるはずだ。
「もしかして・・・」
私はある可能性を考えた。自分が宝の上に立っているという可能性だ。宝とは常に、表に出ているモノとは限らない。原始的であるが、埋めてある場合だ。
単車からスコップを降ろすと、試しに足場を掘ってみた。可能な限り掘り進めてみよう。
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