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- プロローグ -
別れ際、
立ち止まり見つめ合う。
今日という楽しい時間が終わる頃、
お互いに交わす
今夜を締めくくる為の台詞。
「じゃあね」
「バイバイ」
彼が微笑み、私も笑顔を返した。
笑顔を湛えたまま、
彼の顔が迫り、私は反射的に瞼を閉じる。
お互いの唇が、重なり合う。
ほんの少しだけ爪先立ちになるのは、
今日のヒールが低いせい、
時が止まるのは、其の唇のせい、
一瞬だけ訪れる魔法。
そして、あっという間に消えてしまった。
「バイバイ」
にっこりと微笑み、手を振って、
遠く離れていく彼の背中を見送る。
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