kiss 2 ふたりきりの夜

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「出来た!!」 保存をかけて PDFファイルに変換する。 その後、 直ぐ脇にあるコピー機から出ていた書類を、 スタックし、 課長のデスクに 一つにファイリングしたものを置いた。 第二営業部24名の、 経費精算の書類作成が、ようやく終わった。 明日朝一番で、 課長から判子を貰って、 総務課に流す。 私のエベレスト攻略は、今月もクリア~!! しかも今回は 小栗のおかげで、大分楽だった。 今度、ランチご馳走しよう。 ガラス張りの窓の外に建ち並ぶ、 ビルの波間を眺めつつ、 思い切り大きく背伸びをする。 「ふぅーー。達成感感じる~~」 「終わったの?」 背後から、小栗が声をかけてきた。 社長室の手土産を、ひらひらとさせている。 「さっき、終わった」 「社長、 さっきの電話の応対、なんか言ってた?」 「え? ああ」 もしかして... 私の一生が左右される電話になった?? 「別に何も。 遅くまで大変だね。 ってねぎらいの言葉を頂いただけ。 佐藤の電話の対応で、 なんか問題あったの?」 と逆に尋ねられた。 「別に....なにも、ございません」 口をモゴモゴさせて答える私。 「あっそ」 「なにそれ?」 会話を逸らせようと、 彼の手に握られた封筒を、指差した。 青白い光が差し込む中。 小栗に近づく。 「四方山部長の今朝のチケットだって。 さっき電話で話して、 今から四方山部長の家まで 届けに行く事になった」 「ふーん.....って、誰が届けるの?」 「ジャンケンで決める?」 「...小栗じゃないの?」 「あのな、 仕事手伝ってもらっといて、 さらに俺に押し付けんの?」 「ごもっともです。 小栗様、私めにやらせてくださいませ」 「ご苦労」 彼に向けて両手を差し出したが、 なかなか封筒を手放さない。 痺れを切らし見上げると、 青白い月夜のせいか、 彼の表情は、無感情なマネキン人形のように思えた。
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