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「永澤さんの年齢。
教えてくださいよ」
「知りたい?」
永澤が、
ほんの少し近づいてきた。
ワインのせいか、目がとろんとしてる。
其の瞳の奥に映る私を眺める。
私の目も、トロトロだ。
「はい」
「33です」
「ええ!!!見えない!!」
思ったとおりのことを、
口に出してしまった。
言った後、しまったと気づく。
女子と違い、男子はそれほど、
若く見えることを嬉しがらない。
そして彼も、其の中の一人。
「よく言われる。
童顔だから得することもあるけど、
20代の頃は居酒屋に
一人で入るのも大変だったんだ。
僕としては、
年相応に見られたいんだけどね」
「ご。ごめんなさい、つい」
謝る私。
えーー33歳?
ありえなーい。
うちの課長と交換したい~~。
「いーよ。
佐藤さんの驚いた顔、
すげー可愛かったから許す」
そう言い、
私の頭を長毛の犬を愛でるように、
くしゃくしゃに乱して、
フフッと、屈託の無い笑顔で微笑んだ。
やっばい。
かなりストライクゾーンなんですけど。
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