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☆ ☆ ☆
店の外に出ると、
湿気を帯びた熱気に包まれた。
そろそろ梅雨入りするのかな。
ということは、
そろそろ夏のボーナスだ。
などと、
ほくそ笑んでいる背後で、
店を抜け出てきた
男子2名がやって来た。
「こっちこっち」と
手招きするレーナに近づく、
成宮さんと向井さん。
私を見て驚いたのは向井さん。
そしてニヤニヤする。
「永澤と、あの子なんだ」
「まーねー」と
レーナが向井さんに意味深な笑みを投げた。
「そっか、それで、この後どうする?」
「向井、行きたいとこある?」
「レーナに任せるよ」
おやおや?
この二人。実は出来てる??
なっちゃんが、
私と、成宮氏を交互に見たあと、
一歩後ろへと下がった。
そして、いきなり
手をポンと叩いた。
「あ!そうだ、
この後旦那と
銀座デートする約束してたの!
すっかり忘れそうになってたわ!」
....ってもう既に25時、
回ってますけど!!
銀座のキャバでさえ何処もやってないぞ!!
「成宮さん。もし良かったら、
舞を送ってもらえます?」
「構いませんけど、あなたはいいんですか?」
「ええ。主人とデートなので!じゃ!」といい
急遽見繕った
ほころびだらけの爆弾を落としたまま、
なっちゃんは
通りがかったタクシーを拾って、
消えていった。
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